
スペイン語の未来形(Futuro Simple)と近接未来(ir + a + 動詞)は、初心者にとって理解が難しいポイントの一つです。
未来形を正しく使えるようになると、日常会話がスムーズになり、自分の予定や意志を簡単に表現できるようになります。
この記事では、スペイン語学習者がつまずきがちな未来形のポイントとその使い分けをわかりやすく解説します。
スペイン語の未来形とは?
スペイン語には2種類の未来形があります。
それぞれの特徴を理解し、状況に応じて正しく使い分けることが大切です。
未来形(Futuro Simple)の基本と使い方
未来形は動詞の原形に以下の活用語尾を付けます。
hablar(話す)で見てみましょう。
Yo | hablaré |
Tú | hablarás |
Él/Ella/Usted | hablará |
Nosotros | hablaremos |
Vosotros | hablaréis |
Ellos/Ellas/Ustedes | hablarán |
未来形の使いどころ
未来形は、遠い未来、意志、推測、または抽象的な出来事を表現するときに使います。
・Estudiaré después de cenar.
-夕食後に勉強するつもりです。
・Mañana lloverá.
-明日は雨が降るでしょう。
¿Qué hora será?
-今何時だろう?
未来形は、先のことを客観的に述べたり漠然とした未来を表現するときによく使われています
近接未来(ir + a + 動詞)の基本と使い方
近接未来は「ir + a + 動詞の原形」で作ります。
その際、動詞の ir(行く) を主語に合わせて活用する必要があります。
Yo | voy a ~ |
Tú | vas a ~ |
Él/Ella/Usted | va a ~ |
Nosotros | vamos a ~ |
Vosotros | vais a ~ |
Ellos/Ellas/Ustedes | van a ~ |
近接未来の使いどころ
近接未来は、具体的で近い未来や確定的な予定、強い意志を示すときに使います。
・Voy a viajar mañana.
-私は明日旅行に行くよ。
・Vamos a comer en un restaurante.
-私たちはレストランで食事するつもりです。
日常生活では、近接未来を使う方が多いですね
初心者が未来形でつまずきやすいポイントと解決策
ここから、スペイン語学習で迷いやすい未来形の疑問について解説します。
未来形と近接未来の見分け方は?
これらは同じ未来形でも、ニュアンスが異なります。
例として「明日勉強する」で見ていきましょう。
- Estudiaré mañana.
-明日勉強するだろう。(漠然とした未来だから未来形) - Voy a estudiar mañana.
-明日は勉強する予定だ。(具体的な計画だから近接未来)
未来形の場合は「明日勉強するかわからないけどやるかもしれない」というニュアンスが含まれています。
近接未来は「明日は絶対に勉強する」という、話し手の意図的なニュアンスが含まれます。
2つの違いは未来のことが確定しているか、または自分の意志があるかです
もう1つ例文を見てみましょう。
- ¿Qué hora será?
-いま何時だろうか?(推測しているため未来形) - Voy a preguntarle qué hora es.
-彼にいま何時か聞いてみるつもりだ。(話し手の行動に焦点があるため近接未来)
1つ目は、推測のニュアンスがあるため未来形です。
2つ目は、話し手が時間を尋ねることに焦点を当てているため近接未来を使います。
未来形と近接未来の違い
- 未来形
・話し手の確信が薄いが可能性を予測している
・「~だろう」「~かもしれない」という推測の意味合いが強い - 近接未来
・話し手が意図的に未来の出来事を述べる
・「計画」や「行動の意図」に焦点がある
未来のことを表現するときでも現在形を使うのなぜ?
スペイン語では、現在形で未来のことを表す場合があり、客観的な未来や事実を表現するときに使われます。
例を挙げてみましょう。
- Mañana trabajo.
-明日は仕事だ。(スケジュールとしての事実を述べているため現在形) - Voy a trabajar mañana.
-明日は仕事をするつもりだ。(自分が主体的に行動する意図を示すため近接未来)
1つ目は「明日は仕事があるという客観的な事実」のため現在形です。
そこに自身の意図がなく、あらかじめ決まっている予定を伝えるときに多く使われます。
2つ目は「自分は明日仕事がある」と、話し手の主体的な行動にフォーカスしているため近接未来を用いてます。
もう1つ例文を見てみましょう
- Mañana salgo con mis amigos.
-明日は友達と出かける。(確定している予定を伝えるため現在形) - Mañana voy a salir con mis amigos.
-明日は友達と出かけるつもり。(意図や計画が強調されているため近接未来)
これらを比較すると、主語が主体性があるかないか、という違いが見えてくるでしょう。
1つ目は「すでに決まっている予定」であり、2つ目は「自身の意図」に重きを置いています。
現在形と近接未来の違い
- 現在形
・客観的、確定した事実(スケジュール、自然現象など)の未来
・感情的な強調は少なく、行動そのものや時間に焦点がある
・冷静で客観的なニュアンスを出したい場合 - 近接未来
・主観的、意図や計画、話し手の意図や気持ちを強調
・行動を主体的に行う気持ちが含まれる
・「今すぐやる!」という感覚を出したい場合
不規則動詞の活用が難しい
未来形には、ほかの時制と同じく不規則動詞があります。
未来形における不規則動詞は、4つのグループに分けるとおぼえやすいです。
hacer型 (-ce を除くタイプ) | har- | deshacer, satisfacer |
decir型 (-ec を除くタイプ) | dir- | contradecir |
tener型 (語尾の e か i を d に変えるタイプ) | tendr- | poner, salir, valer, venir, |
poder型 (語尾の e を除くタイプ) | podr- | caber, haber, querer, saber |
使用頻度が多いものからおぼえるといいですね
過去未来形と混同してしまう
過去未来形は「柔らかい表現」や「過去の推測」などに役立ち、レストランでの会話や親しい人との日常会話、ニュース、未来の想像、仮定など幅広く使われます。
日本語だと「~していただろう」「~するつもりだった」「~したかもしれない」などのニュアンスを持ちます。
- 「現在を起点とした未来」を表すのが未来形
- 「過去の時点から見た未来」を表すのが過去未来形
例を挙げて過去未来形と未来形と比較してみましょう。
- ¿Qué hora será?
-今何時だろう?→(現在の時間について推測しているため未来形) - ¿Qué hora sería cuando salió?
-彼/彼女が出かけたときは何時だったのだろう?(過去の時点について推測しているため過去未来形)
- Mañana viajaré a Madrid.
-明日マドリードへ旅行します。(現在から見た未来の予定を述べているため未来形) - Me dijo que viajaría a Madrid mañana.
-彼/彼女は明日マドリードへ旅行するだろうと言っていました。(過去の時点から見た未来の予定を述べているため過去未来形)
- Si tengo tiempo, iré al cine.
-時間があれば映画に行きます。(現在またはこれからの条件の話であるため未来形) - Si tuviera tiempo, iría al cine.
-時間があれば映画に行っただろうに。(過去から見た未来の条件であるため過去未来形)
未来形と過去未来形の違い
- 未来形
・現在の時点から見たこれからの未来や推測、予定を表す - 過去未来形
・過去の時点から見た未来の推測、予定、または仮定の状況を表す
過去の時点から未来を表現するのが過去未来!!
未来形をマスターするための練習方法
ここで、僕が実践して効果があった方法を紹介します。
日常の予定をスペイン語で話す練習をする
僕が1番効果があったと実感できた方法は、次の日の予定を未来形で表すことです。
僕は前日の夜、風呂に入りながら1つの予定に対して、3つのスペイン語でつぶやいていました。
例えば「明日友達と会う」としましょう。
- 現在形
Mañana quedo con mis amigos. - 未来形
Mañana quedaré con mis amigos. - 近接未来
Mañana voy a quedar con mis amigos.
ニュアンスの違いを意識し、さまざまな予定を口にだすことで、自然と未来の表現の使いどころがわかるようになりました。
とにかく意識して言うことが大事!
よく使う不規則動詞を最優先におぼえる
どんな言語も、日常生活でよく使う動詞は決まっています。
スペイン語も例外ではなく、優先的に頻出する不規則動詞をおぼえればいいわけです。
スペイン語の先生や友だちに聞いたところ、haber, poder, querer, saber, poner, salir, tener, venir, decir, hacer がよく使われると言っていました。
まずは、これらの不規則活用を頭に叩き込んじゃいましょう。
スペイン語の未来形のまとめ
スペイン語の未来形は、初心者にとってつまずきやすいポイントですが、基本のルールと使い方さえ押さえればスムーズに使いこなせます。
僕の経験上、はじめのうちは「これって未来形?近接未来?はたまた現在形?」とほぼ確実に混乱します。
しかし、細かいニュアンスはあとで掴むものと考え、まずは間違えを恐れず積極的に使っていきましょう。
スペイン語ネイティブの方は、たとえ間違っていてもニュアンスを汲み取ってくれるため、あとで修正すればよいだけです。
¡Vamos a intentarlo!
以上です。