文法や単語

スペイン語の点過去を徹底解説!線過去との違いや動詞活用を深掘り

スペイン語を学びはじめた人にとって、最初の難関は時制でしょう。

とくに、点過去と線過去、現在完了の違いについては、つまづきやすいポイントです。

この記事では、過去の時制で使うことが多い「点過去」について解説しています。

スペイン語の点過去で頭を抱えている方は、ぜひ、最後まで読んでみてください。

この記事でわかること

  • 点過去の規則動詞、不規則動詞の活用
  • 点過去と線過去、現在完了との違い
  • 日常生活における点過去の使いどころ

スペイン語における点過去とは

点過去は、過去に「一度きりで完結した出来事」を表現する時制です。

日本語でいう「〜した」に相当します。

  • 一回限りの出来事
    例: Compré un libro ayer. (昨日、本を買いました)
  • 始まりと終わりが明確な行動
    例: Estudié español durante dos años. (2年間スペイン語を勉強しました)
  • 連続した行動
    例: Me levanté, desayuné y salí de casa. (起きて、朝食を食べて、家を出ました)

完結している出来事は点過去!

点過去の動詞活用

点過去は、主語や時制によって語幹や語尾が変化します。

まずは、語尾のみ変わる規則変化の動詞から見ていきましょう。

点過去の規則動詞活用


主語 -arで終わる動詞 -er / -irで終わる動詞
yo hablé comí / viví
hablaste comiste / viviste
él/ella/usted habló comío / vivío
nosotros hablamos comimos / vivimos
vosotros hablasteis comisteis / vivisteis
ellos/ellas/ustedes hablaron comieron / vivieron

 

1人称と3人称の単数だけアクセント!

不規則変化動詞

点過去の不規則動詞は数あれど、いくつかのパターンがあります。

ある程度のパターンを把握することで、その動詞がどんな変化をするかがわかってきます。

頻出する不規則動詞

まずは、スペイン語圏でよく使われる動詞を押さえましょう。

主語ser / ir
(fu-)
estar
(estuv-)
tener
(tuv-)
poder
(pud-)
poner
(pus-)
yofuiestuvetuvepudepuse
fuisteestuvistetuvistepudistepusiste
él / ella / ustedfueestuvotuvopudopuso
nosotrosfuimosestuvimostuvimospudimospusimos
vosotrosfuisteisestuvisteistuvisteispudisteispusisteis
ellos / ellas / ustedesfueronestuvierontuvieronpudieronpusieron
主語saber
(sup-)
querer
(quis-)
hacer
(hic-)
dar
(di-)
decir
(dij-)
yosupequisehicedidije
supistequisistehicistedistedijiste
él / ella / ustedsupoquisohizodiodijo
nosotrossupimosquisimoshicimosdimosdijimos
vosotrossupisteisquisisteishicisteisdisteisdijisteis
ellos / ellas / ustedessupieronquisieronhicierondierondijeron

とくに、ir / ser、decirは頻出するため、頭に叩きこんでおきたいところです。

また、規則動詞のように、語尾にアクセントがつきません。

hacerの3人称単数「hizo」に注意!

1人称だけ不規則に語尾が変化するタイプ

続いて、1人称(yo)だけ特殊な変化をするタイプです。

主語buscar
(=car)
pagar
(-gar)
empezar
(-zar)
dar
(apaciguar-)
creer
(-eer)
yobusquépaguéempecéapacigüecreí
buscastepagasteempezasteapaciguastecreíste
él / ella / ustedbuscópagóempazódiapaciguócreyó
nosotrosbuscamospagamosempezamosapaciguamoscreímos
vosotrosbuscasteispagasteisempezasteisapaciguasteiscreísteis
ellos / ellas / ustedesbuscaronpagaronempezaronapaciguaroncreyeron

これらは、1人称のときだけ語尾が特殊変化し、アクセントがつきます。

creerは3人称が「y」に変わります

3人称のときだけ語幹の母音が変化するタイプ

最後に、3人称(él / ellos)のときだけ特殊変化するタイプです。

主語mentirmorirservir
yomentímoríserví
mentistemoristeserviste
él / ella / ustedmintiómuriósirvió
nosotrosmentimosmorimosservimos
vosotrosmentisteismoristeisservisteis
ellos / ellas / ustedesmintieronmurieronsirvieron

このタイプは、3人称のときだけ、はじめの母音が変化します。

e→i、o→uといった変化が多いです。

このタイプの動詞も結構使います

点過去と線過去の違い

日本語で過去の表現を意識的に分けることはありませんが、スペイン語では明確に区別しています。

ここでは、僕の経験を踏まえた点過去と線過去の違いを解説します。

点過去と線過去の特徴をつかむ

2つの違いを理解するためには、それぞれの特徴をつかむとイメージしやすいです。

点過去線過去
過去のある時点で完了した行動や出来事

具体的な時点や期間を伴うことが多い
(例: 昨日、先週、去年など)

一回限りの出来事や連続した行動を表現
過去のある期間にわたって継続していた状態や習慣

時間の枠が漠然としていることが多い(例: 子供の頃、昔など)

その時点で進行中だった出来事や背景描写を表す

点過去は「ポン!」線過去は「スーッ」というイメージ!

点過去と線過去を例文で比較

点過去と線過去のイメージを例文で固めましょう。

  • サッカーをする

    A|点過去:Ayer jugué al fútbol.
       (昨日サッカーをしました)
    B|線過去:Cuando era niño, jugaba al fútbol.
       (子どもの頃、サッカーをしていました)

    Aは「完結した昨日の出来事」を話しているため点過去、Bは「子どもの頃~していた」と特定の期間における状況説明のため線過去です。
    ────────────────────────────────────
  • スペイン語を勉強する

    A|点過去:Estudié español durante dos años.
        (2年間スペイン語を勉強しました)
    B|線過去:Estudiaba español cuando vivía en Madrid.
        (マドリードに住んでいたとき、スペイン語を勉強していました)

    Aは「2年間で完結している」ため点過去を使い、Bは「そのとき~していた」と状況説明をしているため線過去を使います。
    ────────────────────────────────────
  • 映画を見る

    A|点過去:Ayer vi una película.
        (昨日映画を見ました)
    B|線過去:Cuando era niño, veía películas todos los domingos.
        (子供の頃、毎週日曜日に映画を見ていました)

    Aは「完結した昨日の出来事」のため点過去を、Bは「子どもの頃~していた」と特定の期間における状況説明のため線過去を用いています。
    ────────────────────────────────────
  • 天気の描写

    A|点過去:Ayer hizo mucho calor.
        (昨日はとても暑かった)
    B|線過去:En verano hacía calor todos los días.
        (夏は毎日暑かった)

    Aは「完結した昨日の出来事」のため点過去、Bは「夏の間~だった」と特定の期間における出来事のため線過去を使っています。

完結した出来事を「点」で伝えるときは点過去!

点過去と線過去を見分けるポイントのまとめ

点過去と線過去を見分けるポイントを質問形式でまとめます。

  1. その出来事は完結しているか?
    ・はい → 点過去
    ・いいえ → 線過去
  2. 具体的な時点での出来事か?
    ・はい → 点過去
    ・いいえ → 線過去
  3. 行動は一回限りか?
    ・はい → 点過去
    ・いいえ(習慣的) → 線過去

ニュアンスによって「これどうなの?」と感じる場合がありますが、点過去と線過去の違いは大体この3つの質問でわかります

点過去と現在完了の違い

点過去と現在完了は、どちらも過去の出来事を表しますが、使用する場面が異なります。

点過去と現在完了の基本的な違い

点過去現在完了
過去のある時点で完了した行動や出来事

具体的な時点や期間を伴うことが多い
(例: 昨日、先週、去年など)

一回限りの出来事や連続した行動を表現
過去の出来事が現在に影響を与えている

過去から今に繋がる「影響や結果」

過去の経験や結果を強調する際に用いられる。

点過去と現在完了を例文で比較

点過去と現在完了の違いを例文で見てみましょう。

  • 本を読む

    A|点過去Ayer leí un libro.
        (昨日は本を読みました)
    B|現在完了He leído este libro antes.
        (この本を読んだことがあります)

    Aは「完結した昨日の出来事」を話しているため点過去、Bは「読んだことがある」と経験したことを述べているため現在完了です。
    ────────────────────────────────────
  • スペイン語を勉強する

    A|点過去Estudié español durante dos años.
        (2年間スペイン語を勉強しました)
    B|現在完了He estudiado español varias veces.
        (何度かスペイン語を勉強したことがあります。)

    Aは「2年間で完結している」ため点過去を使い、Bは「何度か~したことある」と過去に経験したことを表しているため現在完了を使います。
    ────────────────────────────────────
  • 8時間働く

    A|点過去Ayer trabajé ocho horas.
        (昨日は8時間働いた)
    B|現在完了He trabajado ocho horas hoy.
        (今日は8時間働いているよ)

    Aは「完結した昨日の出来事」のため点過去を、Bは「今日は~している」といま現在に続いている出来事を話しているため現在完了を用いています。
    ────────────────────────────────────
  • 病院に行く

    A|点過去Fui al hospital ayer.
         (昨日病院に行きました)
    B|現在完了Esta mañana he ido al Hospital
        (今朝、病院に行った)

    Aは「完結した昨日の出来事」のため点過去、Bは「直近の出来事」であるため現在完了を使っています。

直近の過去の出来事は、スペインでは現在完了、中南米では点過去で表すことが多いです

点過去と現在完了を見分けるポイントのまとめ

点過去と線過去を見分けるポイントを質問形式でまとめます。

  1. その出来事が現在に影響を与えているか?
    • はい → 現在完了
    • いいえ → 点過去
  2. 体験や経験したことを述べているか?
    • はい → 現在完了
    • いいえ → 点過去
  3. その出来事が完了しているか?
    • はい → 点過去
    • 部分的/継続的 → 現在完了

その出来事がいま現在に繋がっているかがポイントです

点過去と一緒に使われる表現

点過去を使う際は、以下のような時間を明確にする副詞表現が頻繁に登場します。

ayer 昨日 Ayer trabajé ocho horas.
(昨日8時間働きました)
anoche 昨夜 Anoche cené con mis amigos.
(昨夜友達と夕食を食べました)
la semana pasada 先週 La semana pasada fui al médico.
(先週医者に行きました)
el mes pasado 先月 El mes pasado empecé a estudiar español.
(先月スペイン語を始めました)
el año pasado 昨年 El año pasado viajé a España.
(昨年スペインに行きました)

点過去とセットで使うと、より自然な表現になる

日常会話での自然な使い方

点過去は、過去の出来事を話す際に必須の表現です。

ここでは、よくあるシチュエーション別に例文を挙げていきます。

週末の出来事を話すとき

休み明けによくある会話です。

fui (行きました), cenamos (夕食を食べました), me quedé (家にいました)など、一回限りの出来事を表現する際には点過去を使用します。

買ったものについて話すとき

買ったものについての会話です。

「そのドレスを買った」が完結した具体的な出来事であるため点過去を用いています。

ちなみに、Costó (値段は〜でした)で具体的な金額を述べています。

体調に関する会話

相手を気遣うやりとりは、どの国でもたくさん使われます。

dormí (眠った), me desperté (目が覚めた)といった動作を、点過去で表現しています。

旅行に関する会話

旅行の思い出に関する会話です。

fuiste (行きましたか), visité (訪れました), probé (試しました)など、旅行中の出来事を具体的に表しています。

たくさん使って点過去に慣れよう!

スペイン語の点過去のまとめ

点過去のポイントをまとめます。

  • 過去における完結している行動は点過去
  • 過去の習慣や状況説明は線過去、いま現在に繋がっていたり経験や体験したことを述べる際は現在完了
  • 直近の過去の出来事は、スペインは現在完了、中南米は点過去で表す場合が多い!

上記のポイントを押さえたあとは、テキストやドリル、スペイン語のレッスン動画などを使って慣れるのみです。

ぜひ、下記の記事も参考にして、点過去を攻略しましょう。

以上です。

-文法や単語
-, , , , , ,