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知識?スキル?「saber」と「conocer」の違いが一発でわかる!見分け方を徹底解説

スペイン語のsaberの画像

saber」はスペイン語で「知っている」「〜できる」など幅広い意味を持つ重要な動詞です。

しかし、単に「know」と訳すだけでは、本来のニュアンスや使い分けのコツを見逃してしまいがちです。

本記事では、saberの基本的な意味から、conocerやpoderとの違い、会話での使い方、そしてネイティブが使う自然な表現まで、独学者にやさしく丁寧に解説します。

saberの使い方で迷ったときの参考にしてください。

saber とは

  • saberは「知っている」「〜する方法を知っている」を意味する動詞
  • 事実・情報・スキルなど、知識ベースの内容に使われる
  • 「人や場所を知っている」と言いたいときはconocerを使う
  • 「〜できる」と言うときは、状況によってpoderと使い分けが必要
  • 会話では「sé」「sabes」「no sé」などの形でよく登場する

「saber」はどういう意味?基本のイメージを押さえよう

日本語では「知っている」「できる」と訳されることが多いですが、実際にはその裏にあるニュアンスがとても重要です

はじめに、saberが持つ基本的な意味とイメージを整理してみましょう。

saberの基本的な意味は「知識として知っている」

saberは、英語でいう knowknow how to〜 に近い感覚で使われる動詞です。

特に「知識」「情報」「方法」を頭で理解しているという意味で使われます。

用法の形意味例文
saber + algo〜を知っている la respuesta.
私はその答えを知っています
saber + que文~ということを知っているSé que Juan vive en Madrid.
フアンがマドリードに住んでるのを知っています
saber + 不定詞~のやり方を知っている/できるSé cocinar bien.
私は上手に料理ができます

「知っている」と「できる」が同じ単語になるのはなぜ?

ここが日本語話者にとって混乱のもとですが、saberには「知識があるからできる」というニュアンスがあります。

つまり、「泳げる」「ピアノが弾ける」など、スキルややり方を身につけている=知っている、という感覚です。

「知識や方法を知っている」→「だからできる」

この「できる」は、スペイン語では poder とは違い、状況ではなく習得した能力に焦点が当たります

まず覚えたい3つの使い方

独学中の方にとって、saberの使い方を一気に覚えるのは大変です。

まずは、以下の3つを中心に練習していきましょう。

  • saber + 名詞:「それを知っている」例:No sé la respuesta.
  • saber + que節:「~ということを知っている」例:Sé que estás cansado.
  • saber + 不定詞:「~することができる(やり方を知っている)」例:¿Sabes nadar?

これらのパターンがマスターできれば、saberの感覚がグッとつかみやすくなります

小さな違和感を放っておかないことが上達のコツ

「知っている」と訳してもイマイチしっくりこない文が出てくることもあるでしょう。

そうしたときは、「saber=知識や方法を知っている」という視点で読み直してみてください。

No sé qué decir. → 「何を言えばいいかわからない」
→ 言い方=方法を知らない → saberの出番というわけです。

saberとconocerのどっちを使うか迷ったらここを見る

スペイン語を勉強していると、「知っている」という意味でsaberとconocerが両方出てきて混乱することがよくあります。

日本語ではどちらも「知っている」と訳されるため、はっきりと使い分けを意識しないと、文法的に間違ったり微妙な違和感が生まれてしまいます。

ここでは、saberとconocerの違いを解説します。

大まかな違いは「知識」か「経験」か

まずは、「saber」と「conocer」のざっくりとした違いのイメージを確認しておきましょう。

動詞意味の中心具体例使い方のイメージ
saber情報・知識・方法を知っている la respuesta.頭で知っている
勉強して覚えたことなど
conocer経験・人・場所を知っている
行ったことがある
Conozco Madrid.実際に行ったことがある
人と会ったことがある

saberは知識や方法

  • 情報・知識として何かを知っているとき
    No dónde está la estación.(駅がどこにあるのかわかりません)
  • 方法やスキルを知っているとき(=できる)
    ¿Sabes nadar?(泳げる?)
  • 答え・ルール・事実などを知っているとき
    la respuesta correcta.(正解を知っています)

saber は学んで覚えたことや調べて理解したことなど、「頭で知っている」ことに使います

conocerは経験

  • 人と知り合いであるとき
    ¿Conoces a mi hermano?(私の兄を知ってる?)
  • 行ったことがある場所や土地
    Conozco bien Osaka.
    (大阪には詳しいです/よく知ってます)
  • 何かについて経験や親しみがあるとき
    Conoce la literatura japonesa.(彼は日本文学に精通しています)

直接触れたことがある「経験ベースの知識」に使います

使い分けのコツは目的語の種類に注目する

最後に、どっちを使えばいいか迷ったときのまとめです。

saberconocer
答え・事実・情報を話すとき
方法・スキルについて語るとき
疑問詞(qué, cómo, cuándoなど)を伴うことが多い
人の名前や地名、国名など「固有名詞」が来るとき
「行ったことがある」「会ったことがある」というニュアンスが含まれるとき

saberとpoderの違い

スペイン語で「〜できる」と言いたいとき、多くの学習者がpoderを思い浮かべますが、「saber」も「〜できる」という意味で使われることがあります。

違いのポイントは「能力」か「状況」か

動詞意味の中心具体例ニュアンス
saber + 不定詞習得したスキル・知識があるSé nadar.
(泳げます)
「やり方を知っているからできる」
poder + 不定詞状況的・物理的に可能であるNo puedo nadar hoy.
(今日は泳げません)
「今の状況ではできない」

saberは「やり方を知っている」からできる

saberを使った「できる」は「方法やスキルを学んだ結果としてできる」という意味です。

  • 自転車の乗り方を習った montar en bici.
  • ピアノが弾ける(練習して習得済)→ Sé tocar el piano.
  • 英語が話せる(勉強してできるようになった)→ Sé hablar inglés.

「知識・練習・経験」を通じて得たスキルを表します

poderは「今その状況でできるかどうか」

一方、poder「物理的・心理的・外的な条件が整っていてできるかどうか」を表します。

  • 時間がないNo puedo cocinar ahora.
  • 怪我をしている No puedo caminar bien.
  • 雨が降っているHoy no podemos jugar afuera.

「知識があるか」ではなく「今できるか」に焦点があります

saber と poder を実際の会話で比較

料理ができない

  • No cocinar.
     → 「料理の方法を知らない(スキルがない)」
  • No puedo cocinar.
     → 「時間や道具がなくて料理できない(状況が無理)」

運転できる?

  • ¿Sabes conducir?
     → 「運転の仕方を知っている?」=免許を持ってる?習った?
  • ¿Puedes conducir hoy?
     → 「今日は運転できる?」=体調とか時間、大丈夫?

saberとpoderの選び方で伝わり方が大きく違ってきます

saberpoder
スキル・能力状況・条件

文脈で判断するクセをつけるとニュアンスが掴みやすくなりますよ

saberの活用一覧(現在・過去・接続法)と語幹の変化

saberは、スペイン語の中でもよく使うわりに、変則的な活用が多い動詞です。

特に独学だと「sé」「supe」「sepa」など、原形と違う形に出会って戸惑う方も多いかもしれません。

ここでは、頻出時制における、直説法と接続法の活用を一覧で紹介します。

【直説法】saberの主な活用(現在・点過去・線過去・未来・過去未来)

人称現在形
(Presente)
点過去
(Pretérito)
線過去(Imperfecto)未来形
(Futuro)
過去未来形(Condicional)
yosupesabíasabrésabría
sabessupistesabíassabrássabrías
él/ella/ustedsabesuposabíasabrásabría
nosotros/assabemossupimossabíamossabremossabríamos
vosotros/assabéissupisteissabíaissabréissabríais
ellos/ellas/ustedessabensupieronsabíansabránsabrían

直説法の活用の注意点

  • 現在形:yoだけが特殊で「」になります(アクセント付き!)。
  • 点過去:語幹が「sup-」に変化します。venirやponerと同じく完全不規則。
  • 線過去:規則活用。「-ía系」の活用なので覚えやすいです。
  • 未来・過去未来:語幹が「sabr-」に変わりますが、活用語尾は規則的。

【接続法】saberの主な活用(現在形・過去形)

人称現在形
(Presente de Subjuntivo)
過去形
(Imperfecto de Subjuntivo)
yosepasupiera
sepassupieras
él/ella/ustedsepasupiera
nosotros/assepamossupiéramos
vosotros/assepáissupierais
ellos/ellas/ustedessepansupieran

接続法の活用の注意点

  • 接続法現在は語幹「sep-」、語尾は「-a系」。
  • 接続法過去は語幹「supier-」、語尾は「-a系(仮定法っぽい響き)」。
  • 点過去と似ていますが、語尾のパターンが違うので混同しないように。

saberの5つの使い方:よく出る例文とセットで覚えよう

saberには主に以下の5つの使い方がありますが、どれも日常会話や文章で非常によく登場します。

saber + algo(〜を知っている)

最も基本の使い方で「◯◯という情報・事実を知っている」と言いたいときに使います。

文構造saber + 名詞または代名詞

  • ¿Sabes la respuesta?
    答えを知ってる?
  • Sí, lo .
    (うん、知ってるよ

※「lo」は「そのこと(la respuesta)」の代名詞です

saber + que節(〜ということを知っている)

出来事や情報を文の形で知っているときは、que以下に文章を続ける形になります。

文構造saber + que + 直説法

  • Sé que ella vive en Barcelona.
    (彼女がバルセロナに住んでるのを知っています
  • ¿Sabías que hoy es feriado?
    (今日は祝日だって知ってた?

時制の一致に注意!主節が過去なら、従属節も過去になります

saber + 不定詞(〜することができる)

「〜のやり方を知っている」→「だからできる」というニュアンスで、練習や学習で身につけたスキルに対して使います。

文構造saber + 動詞の原形

  • ¿Sabes tocar el piano?
    (ピアノ弾ける?)
  • No sé nadar muy bien.
    (あまり泳げないんです)

状況による「できる」は poder、スキルとしての「できる」は saber です

saber + de(〜について知っている/精通している)

「〜の分野について知識がある」「〜について詳しい」といった意味になります。

文構造saber + de + 名詞

  • ¿Alguien sabe de informática aquí?
    (この中で情報処理に詳しい人いますか?)
  • Mi abuela sabe mucho de plantas.
    (祖母は植物にとても詳しいです

「〜に詳しい」「〜に明るい」といった意味で使える便利な表現です

saberse(〜を知り尽くしている/暗記している)

再帰動詞の形(saberse)になると、「単に知っている」ではなく「暗記している」「完璧に把握している」という意味に強まります。

文構造saberse + 名詞(情報・知識など)

  • Se sabe todos los nombres de los países del mundo.
    (彼は世界中の国の名前を全部覚えている
  • Me sé la canción de memoria.
    (その歌は暗記しています

再帰形=意味を強調というのは、他の動詞でもよく見られるパターンです

5つの使い方をざっくりイメージで区別しよう

使い方のパターン主な意味よく使う場面
saber + algo単純に「〜を知っている」回答、名前、事実など
saber + que文「〜ということを知っている」出来事、情報の確認
saber + 不定詞「〜できる(やり方を知っている)」スキルや能力
saber + de「〜について詳しい/精通している」分野・話題・ジャンルなど
saberse(再帰)「覚えている/知り尽くしている」暗記、完璧に把握している知識など

会話で「saber」が出てきたら?リスニングと読解のコツ

「saber」は、会話やリスニング、読解の中では活用の形や文脈によって、意味が変わって聞こえづらくなることもしばしばあります。

ここでは、saberを実際のコミュニケーションの中で正しく聞き取ったり、読み取ったりするためのコツを紹介します。

「sabes?」は会話で超頻出フレーズ

スペイン語の会話では、相手に何かを知っているかどうか確認するときに、単独で「¿Sabes?」や「¿Sabes qué?」といった表現がよく使われます。

  • ¿Sabes qué pasó ayer?
    (昨日何があったか知ってる?)
  • ¡No sabes lo que me dijo!
    (彼が何て言ったか、信じられないよ!)

感情を込めた「驚き」や「前置き」として使われることも多く、そのあとの話が重要なケースもあります

否定形「no sé」は自分の無知や戸惑いを表す

「No sé...」は、独り言のように使われたり、ちょっと困ったときの返事としても便利な表現です。

  • ¿Dónde está el baño?
    No sé.わからない
  • ¿Qué quieres hacer esta noche?
    No sé... tal vez cenar fuera.
    わからないな…外でご飯とか?)

短いやりとりの中に現在形の「sé」が自然に出てくるので、リスニング時には特に注意深く聞きたいポイントです

「動詞+que」構文ではsaberかどうかを判断するのがカギ

saberは「saber que~」の形でよく登場しますが、文章が長くなると saberの存在自体を聞き逃してしまうことがあります。

リスニング&読解のヒント

  • 「知っているという話か?」と意識しながらqueの前後を確認する
  • saberが活用された形(sé, sabes, sabe...)を意識して文頭を丁寧に聞く
  • 疑問詞(qué, cómo, cuándo)が出てきたら、その前にsaber系が潜んでいる可能性あり

意味が曖昧なときは「文脈の役割」で判断しよう

文脈に合わせて「知っている」「できる」「覚えている」など、saberの意味は変わってきます。

判断がつかないときは、以下のようなヒントを手がかりにしましょう。

状況saberの意味
スキルや能力の話をしている「〜できる(やり方を知っている)」
事実や出来事の内容を話している「〜ということを知っている」
「知ってる?」と聞かれている「情報として知っているか」の確認
驚き・反応・感情がこもっている「信じられないでしょ!」という強調

🎧 リスニングでは「音のリズム」よりも「文の機能」を意識すると理解しやすくなります

「que yo sepa」って何?ネイティブっぽく言いたいなら

文法を覚えて、基本の使い方もマスターし始めると、気になってくるのがちょっとこなれた言い回しでしょう。

その代表格が「que yo sepa(ケ・ジョ・セパ)」というフレーズです。

辞書だけではなかなかピンとこないこの表現は、saberの接続法現在「sepa」を使ったとても実用的な言い回しなんです。

「que yo sepa」は「私の知る限りでは」

この表現は、何かを断言しないときや、あくまで自分の知っている範囲で話すときによく使われます。

  • たしかに私が知っている限りでは
  • 私が知るかぎりそうだけど、違ったらごめんね

構文Que + 主語 + saber(接続法現在)

この場合は「yo(私)」が主語、「sepa」がsaberの接続法現在・一人称単数形です

例文で使い方をイメージしよう

  • Que yo sepa, no hay clases mañana.
    私の知る限りでは、明日は授業ないよ)
  • No ha llegado nadie todavía, que yo sepa.
    私の知っているかぎり、まだ誰も来てないよ)

また、少しくだけた場面でも使えます。

  • No tiene novio, que yo sepa.
    (彼氏はいないと思うけどね

文末に加えるだけで、「確実じゃないけど、たぶん…」という含みを自然に伝えることができます

saberを使ったその他のネイティブっぽい表現

saberは慣用句や会話表現の中にもよく登場します。

ここでは、日常会話でよく使われるものをいくつかピックアップします。

表現意味・使い方
¿Sabes una cosa?「ねえ、ちょっと聞いてよ」「知ってる?」(話の導入)
No sé ni papa.「全然わかんない」(話の内容をまったく理解していないとき)
¡Quién sabe!「さあ、どうだろうね」(不確実さや皮肉を込めて)
Me sabe mal...「申し訳なく思う」「心苦しい」(丁寧なお断りなどに)
A saber...「一体全体…」「〜なんて知るもんか」(驚き・あきれ)

ネイティブっぽく聞こえるポイントは、こういった日常的な決まり文句を“丸ごと”おぼえることです

saberを学べる動画

The verb 'to know' in Spanish: 'SABER' and 'CONOCER'

Butterfly SpanishのAnaさんは、実用的でリアルなスペイン語を楽しく学べる人気YouTube講師です。

フォロワー数は100万人を超え、文法・発音・会話・文化など多彩なテーマで150本以上の無料レッスンを公開しており、レッスンは「教科書には載っているけど現地では使わない表現」を避け、スペイン語圏の実際の会話に基づいた内容が特徴です。

メキシコ出身でスペイン語と文化に情熱を注ぐ彼女は、初心者から上級者まで温かく迎え、独自のユーモアとエネルギーで学習者を励まします。

Conocer vs Saber | HOLA SPANISH | BRENDA ROMANIELLO

Hola SpanishのBrenda Romanielloさんは、アルゼンチン出身でシドニー在住のスペイン語教師です。

10年以上の指導経験を持ち、スペイン語を第二言語として学ぶ人々に向けて、ラテンアメリカやスペイン各地の実用的な表現を楽しく教えています。

彼女が立ち上げた「The Spanish Fluency Club」では、週1回の動画レッスンやクイズ、会話練習などを通して、学習者が自信を持って話せるようサポート。

YouTubeでも文法、語彙、文化に関するレッスンを多数公開しており、姉妹や仲間の教師たちと共に、多国籍のスペイン語を学べる点も魅力です。

saberは知識?スキル?まずは使って慣れよう

ここまで「saber」というスペイン語の動詞について、意味・使い方・活用・表現を段階的に見てきました。

大切なのは、「完璧に覚えてから使う」のではなく、使いながら覚えていくことです。

まとめ

  • saberは「知識を持っている」「やり方を知っている」など頭の中の情報を表す動詞
  • conocerやpoderとは意味・使い方が異なるので文脈で使い分けが必要
  • 活用は不規則形に注意。まずは現在形・点過去・接続法現在から!
  • 会話では「¿Sabes?」や「No sé」がよく使われる
  • 「que yo sepa」など、ネイティブっぽい表現もたくさんある

ぜひ、「私は〇〇ができる」「〇〇を知っている」と言えることをひとつでも増やしていってください

あなた自身の「sé(私は知っている)」を、スペイン語でどんどん広げていきましょう。

以上です。

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