スペイン語学習において、スペイン語能力を公的に証明できる「DELE」に挑戦する人は多いでしょう。
今回は、DELEの入門レベル「A1」に合格する方法について紹介します。
この記事を読むことで、DELE A1の概要や対策、おすすめのテキストを把握できますよ。
とくに、これからDELEに挑戦する方は、最後まで読んでみて下さいね。
DELEとは?
DELEとは、「Diploma de Español como Lengua Extranjera」の頭文字をとった略称です。
スペイン語を母語としない人を対象としており、スペイン語を学習している人なら取得しておきたい資格の1つでしょう。
DELEの概要
運営団体 | インスティトゥト・セルバンテス |
開始年 | 1989年 |
試験内容 | ・読解 ・聞き取り ・文章表現(スペイン語作文) ・口語試験 |
検定レベル | ・A1(入門) ・A2(初級) ・B1(中級) ・B2(中上級) ・C1(上級) ・C2(最上級) ~11~17歳の学習者~ ・A1 Escolar(A1と同等) ・A2/B1 Escolar(A2またはB1と同等) |
試験形式 | ・試験会場で実施 ・紙媒体で行われる |
対象 | ・経験、年齢不問 |
試験日 | 年4回(4月、5月、7月(東京会場のみ)11月) |
合否の通知 | ・Certificado(合否通知) 約3ヶ月後 ・Diploma (合格証書) 約1年以内 |
有効期限 | 永久 |
DELEは、1989年、スペインの政府機関の下ではじまったスペイン語検定試験です。
当初はスペイン国内において、スペイン語を母語としない人に向けて実施されていましたが、現在では世界100ヵ国以上で行われています。
1度取得することで、留学や就職の際に自身のスペイン語レベルを証明できるようになります。
DELEは更新の必要がない!
DELE A1について
日本でDELEを主催しているインスティトゥト・セルバンテス東京は、DELE A1のレベルを以下のように定義しています。
即時に必要な、生活でよく使われる表現を理解し、対応することができる。ゆっくり、簡単に、対話者の協力を得ながら、個人情報や日常生活などをコミュニケーションをとりながら話したり、尋ねることができるレベル。
引用:Instituto Cervantes DELEスペイン語検定のレベル分け
「入門」レベルとされていますが、日常生活で使うスペイン語が出題されるため、ある程度の語彙や文法の知識が求められます。
出題範囲
DELE A1で出題される範囲は、おおよそ以下の通りです。
A1では、過去形や現在完了形などは使われませんが、まれに未来形が登場する場合があります。
時間配分
DELE A1は「読解」「聞き取り」「文章表現(スペイン語作文)」「口頭試験」の4つのカテゴリーに分かれています。
それぞれの時間配分を見てみましょう。
A1 | A1 Escolar | |
読解 | 45分 | 45分 |
聞き取り | 25分 | 20分 |
文章表現(スペイン語作文) | 25分 | 25分 |
口頭試験の準備 | 10分 | 15分 |
口頭試験 | 10分 | 15分 |
出題形式
次に、それぞれのカテゴリーの出題形式を紹介します。
読解
読解問題では、短い文章の内容について出題されます。
読解問題では、おもに文章を理解し、その内容に沿った問題が出されます。
例えば、設問の内容を3択から選ぶ、用意された2つの文章を線で結ぶ、といった具合です。
語彙力が試されますね
聞き取り
聞き取り問題は、ネイティブが話す音声を聞いて解答する形式です。
聞き取り問題では、ネイティブが話す内容に該当するものを選んだり、空欄を埋めたりするタイプです。
話すスピードは、そこまで早くありません
文章表現(スペイン語作文)
文章表現では、日常生活におけるシチュエーションを想定した問題が出されます。
作文では、自己紹介文がメインとなります。
名前や出身地、趣味や仕事など、自身について述べるケースが大半です。
自己紹介の表現はこの先ずっと使うので、この機会におぼえるといいですね
口頭試験
口頭試験は、実際に試験官と会話のやりとりを行います。
試験の流れは、おおよそ以下の通りです。
口頭試験を行う前には10分の準備時間が与えられるため、話したいことをまとめることができます。
ただし、本番では音読できないため注意が必要です。
準備時間で要点をまとめておくと安心です
配点
DELE A1は2つのグループに分かれており、それぞれ30点以上が合格ラインとなっています。
・グループ 1
読解・作文 25点ずつ
・グループ 2
聞き取り・口頭試験 25点ずつ
どちらのグループとも30点以上必要
DELEではレベル問わず、総合的なスペイン語力が試されるため、どれか1つだけ得意というのは認められません。
得手不得手をなくすことが合格への道と言えます
A1に必要なレベル
DELE A1に必要なスペイン語レベルは、自己紹介や趣味、家族構成やあいさつなどです。
それぞれの言い方はいくつかありますが、最も失礼のない表現を紹介します。
とくに、口頭試験では上記の質問をされることが多いため、すぐに答えられるように復唱しておくといいでしょう。
日常生活にまつわる語彙や表現は必須です。
旅行や仕事のときに使うフレーズもカバーしておくと安心ですよ
時制については直説法現在形がメインとなるため、動詞活用を完璧にしておくことが理想です。
DELE A1合格に効果的な勉強法
次に、DELE A1を合格するために効果的な勉強法を紹介します。
直説法現在形を頭に叩き込む
DELE A1にでてくる動詞は直説法現在形であるため、現在形の動詞活用を頭に叩き込む必要があります。
まずは、直説法現在形の動詞活用をおぼえましょう。
-ar | -er | -ir | |
yo | -o | -o | -o |
tú | -as | -es | -es |
él /ella usted | -a | -e | -e |
nosotros | -amos | -emos | -imos |
vosotros | -áis | -éis | -ís |
ustedes | -an | -en | -en |
ser | estar | tener | hacer |
soy | estoy | tengo | hago |
eres | estás | tienes | haces |
es | está | tiene | hace |
somos | estamos | tenemos | hacemos |
sois | estáis | tenéis | hacéis |
son | están | tienen | hacen |
そして、よく使われる動詞の不規則に変化する活用を把握します。
動詞の活用は、変化の法則がいくつかあるため、グループに分けるとおぼえやすいですよ。
ベネズエラ人の友だちに、最初におぼえた方が良い動詞はなに?と尋ねたところ、「Ser」「Tener」「Haber」の3つでした。その理由は、日常生活で最もよく使われるからだそうです。もちろん「Hacer」や「Estar」なども頻出しますが、上記の3つの動詞をはじめに完璧におぼえたいところですね。
語彙力を高める
「語学は語彙数がキモ」と言っても過言ではありません。
いくつかのDELE関連のサイトから算出したところ、DELE A1に必要な語彙数は約1,000語でした。
僕が行っている語彙力アップの方法を紹介します。
わからない単語がでてきた場合、放置せず、すぐに調べることで取りこぼしを防ぐことができます。
また、新しくおぼえたスペイン語は、積極的に使うことで脳に定着します。
目に入るものや自身の行動などをスペイン語に置き換えてみましょう
また、語彙を増やすためには単語帳が最適です。
おそらく、文法に時間を割くことになるため、単語は隙間時間にコツコツおぼえるといいでしょう。
1日10語だけでも、1ヶ月で約300語!
リスニング力を鍛える
DELE A1は、リスニングの課題があるため「聞き取る」能力の向上は欠かせません。
そのためには、スペイン語に触れる機会を増やし、且つ、意識して聞くことが重要です。
通勤や通学途中、犬の散歩や筋トレしているときなど、スペイン語に触れる時間を増やすことがキモです。
コツコツ聞くことで、脳がスペイン語を認識するようになっていきます
リスニングにおすすめの動画と音声
・Aprender español online
Aprender español onlineは、スペイン語学習者に向けたビデオです。
あらゆるレベルに対応しており、動画内のスペイン語音声はすべて字幕が付いています。
基礎的な部分から応用まで、見て学べる動画です。
字幕付きなので聞き漏らすことがありません
・Baru y Tere
カナリア諸島出身のTereさんと、チリ出身のBaruさんによるポッドキャストです。
内容は、自己紹介や日常の出来事、お互いの故郷などについて2人が会話します。
また、シチュエーション別の会話もあり、生のやりとりを学ぶこともできるでしょう。
聞きやすい発音とスピードで話してくれるため、スペイン語初心者にも聞きやすいですよ。
リスニングの強化にピッタリ!
スペイン語を話すことに慣れる
DELE A1は、最後に口頭試験が行われるため、会話に慣れておくことが重要です。
動画やテキストを見て、スペイン語での会話の流れを掴んでおくといいでしょう。
上記で紹介した、自己紹介や日々の過ごし方にまつわる単語や表現をおぼえておけば、そこまで難しくはありません。
不安要素は、スペイン語力よりも人と話すことです。
どんなに知識があっても、話せない人はたくさんいます
そのためには会話に慣れる必要があり、実践的な方法が効果的です。
オンラインレッスンや言語交換アプリでは、実際にスペイン語ネイティブの方とスペイン語で話します。
とくに、知らない人との会話はスペイン語に慣れるだけでなく、友だちも増やせるため一石二鳥です。
また、はじめは間違ってもよいので「会話に慣れること」を重視すると上達しやすいでしょう。
最初は不安に感じますが、やってみると「楽しい」が勝りますよ
DELE A1対策におすすめのテキスト
最後に、DELE A1対策に特化したテキストを紹介します。
※アマゾンにないテキストは、セルバンテス書店からどうぞ。
Preparacion al DELE A1. Libro/Clavesセット EDELSA社
EDELSA社のテキストは、7課分の問題集と解答集がセットになっており、「旅行」や「趣味」などの身近なテーマが出題されます。
実際のDELE試験に沿った作り(読解、聞き取り、作文、口頭試験)で、本番さながらに問題を解きたい方におすすめです。
文法や語彙力の向上だけでなく、DELEの試験に慣れることもできるため一石二鳥です。
力試し → 弱点を把握する → 弱い箇所を勉強する → 再び模擬試験を行う
このサイクルを繰り返し行うことで、確実に点数アップにつながります。
なお、作文や口頭試験のモデル解答はありません。
聞き取り問題は、音声ファイルを出版社HPからダウンロードして行います。
合格!A1/A2 レベルDELE試験対策スペイン語基本単語1200+α
INTERSPAIN BOOK SERVICEから刊行された、DELEの入門レベルに特化した単語帳です。
大まかに単語をピックアップしているのではなく、DELEA1/A2に絞った単語を選んでいるため、DELE対策にピッタリな単語帳と言えるでしょう。
DELE A1の頻出単語を学びたい方にピッタリ!
Destrezas ELE. EXPRESION ESCRITA (A1-A2)
enCLAVE社によるA1向けのDELE対策テキストは、作文に特化した問題集です。
15課から構成されており、例文、語彙一覧、文法解説と問題、作文の練習問題が記載されています。
キチンとした文章の組み立ては、物事を正しく伝えることに直結するため、会話力もアップします。
はじめは、スペイン語だらけで混乱するかもしれませんが、DELEの試験は問題も解答方法もすべてスペイン語です。
スペイン語の文章に慣れることもできるため、臆さずトライしてみましょう。
CUADERNOS DE GRAMATICA ESPANOLA (A1)
DIFUSION社からは、DELE A1にでてくる文法を徹底的に学べる文法練習問題集を紹介します。
DELE A1はスペイン語の入門レベルとされていますが、冠詞や複数形、基本文法などを把握する必要があります。
文法は、語学の根幹と言える部分です。
どの言語でも文法を疎かにしては、良い成績どころか意思疎通が困難になるでしょう。
DELE対策も兼ねて、徹底的に鍛えておきたいところです。
リスニングも鍛えられる!
DELE A1は独学でも合格できる!
この記事では、DELE A1を独学で合格する方法について書きました。
DELE合格者の話を聞いていると、独学でも合格できる人は多いです。
DELE公式による合格率は非公開とされていますが、しっかり対策すれば突破できる難易度でしょう。
まずは、模擬試験にトライして自身の実力を把握し、強化すべきポイントに集中して取り組むことで良い結果につながりやすいと言えます。
DELE A1のサンプル
この記事は以上です。