「スペイン語が早くて全然聞き取れない」という学習者は多いでしょう。
僕も、勉強をはじめたときは、子ども向けの教材でも何言っているかチンプンカンプンでした。しかし、根気よくトレーニングすることで、ある時期を境にスペイン語が理解できるようになりました。
この記事では、僕の経験を踏まえたスペイン語のリスニング力を上げる方法を紹介します。
なぜスペイン語のリスニングが上達しにくいのか
勉強してすぐにスペイン語を理解できる人はいません。
生まれや育ちがスペイン語圏であれば別ですが、スペイン語に触れたことがない人にとっては難しいものです。
スペイン語のリスニング力を上げる第一歩として、聞き取れない原因を探っていきます。
話すスピードが日本語より早く感じる
「スペイン語を話す人って、みんな早口だなぁ」
僕がスペイン語を学びはじめたとき、スペインの都市部に住む人との会話やニュースを見て感じたものです。
彼らは一息で話す単語数が多く、当時の自分には「なんてせっかちなんだ」と思ったものでした。
実はスペイン語の速度は世界一という実験結果があります。
スペイン語が1位なのは納得ですが、日本語が2位というのは驚きでした。
さまざまなスペイン語がある
スペイン語は大きく分けて2つに大別できます。
1つはスペイン本土で話されている「Castellano」(カステジャーノ)、もう1つは中南米で話されている「Español」(エスパニョール)です。
CastellanoとEspañolの違い
Castellano (カステジャーノ) | Español (エスパニョール) | |
---|---|---|
パソコン | ordenador | computador |
ジャガイモ | patata | papa |
ジュース | zumo | jugo |
運転する | conducir | manejar |
(乗り物に)乗る | coger | tomar |
上記は一例であり、中南米の国の中でも、異なる使い方をする単語もあります。
「coger」は、中南米ではスラングにあたります。
注意して使い分けることが大切ですね。
このように、同じスペイン語でも、語彙や使い方が異なる部分はたくさんあります。
どちらのスペイン語を学んでいるかを明確にしないと、ごちゃまぜになって混乱してしまいますね。
カステジャーノは完璧だけど、エスパニョールだと違和感を感じる人は多いそうですよ(逆もまた然り)。
動詞活用の不慣れや語彙力が不足している
スペイン語は、主語によって動詞が変わる言語です。
スペイン語の動詞活用が頭に入っていないと、「誰が」「いつ」の2つが曖昧になり、聞き取れても解釈ができません。さらに、主語を省いて話すことが多いため、ますます混乱してしまうでしょう。
また、単純に蓄積している語彙が少ないために理解できないこともあります。1つのセンテンスにおいて、すべて理解できなくても半分くらいわかれば言いたいことの予想がつきます。
つまるところ動詞さえ聞き取れれば、前後の文脈から判断しやすくなるんですね。
話すときの発音の変化に慣れない
「文章は読めるけど、音声だと聞き取れない」
外国語を勉強している人は、1度は経験したことがあるでしょう。
これは、最後の子音と次の単語の語頭にある母音がつながる「リエゾン」が関係しています。
ネイティブが日常的に会話する際に、もともとの単語が連結したり、脱落したりして発音が変化することを「リエゾン」と呼びます。
Berlitz
ネイティブと話していると、この現象が頻発します。英語やフランス語なども同様に発音が変わります。日本語であれば、「銀杏」=ぎん(Gin)+あん(An)で「ぎんなん」がそれに該当します。
ネイティブの友だちに、どうすれば聞き取れるかと尋ねたところ、「慣れるしかないね」とだけ言われました。
これは本当にやっかいで、学んできた発音と違うことから、すごく戸惑いました。リエゾンは理屈じゃなく、そういうもんなんだと開き直った方がいいですよ。
リスニング上達に効果的な方法
リスニングが上達しない原因がわかったところで、早速上達する方法を紹介します。
僕が実践して効果があったものを中心にお届けします。
生活の一部にスペイン語を取り入れる
自身の生活にスペイン語を取り入れることで、スペイン語に触れる機会を増やします。
脳みそは、音を聞くだけでなく声に出すことで言語として認識しやすくなるため、つぶさにスペイン語で呟いてみるといいでしょう。
このように、朝起きてから寝るまでの行動を逐一スペイン語で表現することで、スペイン語の発音が脳に認識されていきます。
語彙力も増えることから、一石二鳥ですね。
短い文章からはじめると、飽きずに続けやすいですよ。
反復して聞く
聞きなれない外国語は、聞いて理解できるものを繰り返し聞くことで耳が慣れてきます。
たとえば、スペイン語圏(とくにヨーロッパの方)のニュースは、慣れない方からすると早く感じる上に、扱うニュースによっては専門用語が頻出するため語彙力も必要です。
その場合、どうあがいても聞き取れないものにトライするより、ちょっと理解できるレベルのものを反復して聞く方が、リスニング力の向上に繋がります。
リスニングの向上には「聞いて声に出すこと」を反復して行うことが効果的です。
発声を忘れずに!
映画やドラマなどの動画を見る
いまや、Youtubeなどの動画プラットフォームのおかげで、気軽に外国語と触れ合えるようになりました。
ネット上には語学に関する動画がゴロゴロ転がっています。
動画投稿者によっては、初心者向けに丁寧に作りこんであるものもあります
また、AmazonやNetflixなどのサブスクで、スペイン語の映画やドラマを楽しむこともできます。興味があるジャンルで取り組むといいでしょう.
僕はスペイン語の動画を流しながら筋トレをしています。また、仕事の合間の気分転換にもおススメです。
スマホなどのモバイル端末を使って、いつでも利用できる気軽さが嬉しいですね。
音読する
音読は、言語学習において最も重要なファクターとされています。
さまざまな言語教育の場で取り入れられている音読は、ベーシックな方法ながら、リスニング向上において高い効果を発揮することが明らかになっています。
英文が表す意味を認識しつつ、聞き手にメッセージを伝えるように、文字を音声化する。英文を適切に音声化することで、聴覚心象が強化され英文が聞き取りやすくなる。
音読活動の再考察 / 江原 一浩
また、音読は語彙力と文法力の向上も期待できるため、優れた勉強法と言えるでしょう。
小さいときから行っている音読は、実はものすごい効率的な言語習得の方法だったんですね。
ネイティブの発音とスピードに慣れる(スペイン語に慣れてきたら)
現地に住む人々の会話は、教材の音声とは異なって聞こえます。
学習者向けの付属CDや語学学校の先生は、わかりやすいように「ゆっくり」「はっきり」と話してくれています。これは、いわば教えるとき用の発声であり、ありのままのスペイン語ではありません。
ゆっくりした発音を聴かせると、ゆっくりした発音しか聴き取れない神経回路網を形成して、natural speed での会話や公園が聴き取れなくなってしまう。最初から liasion(リエゾン)のかかった早口の言語を聴かすのがコツである。
脳科学から見た効果的多言語習得のコツ / 植村 研一
通学や通勤中などの空き時間に、ネイティブが話す音声を意識して聴くことで、本場のスペイン語に慣れます。
スペイン語のスピードだけでなく、リエゾンにも慣れることでリスニング力がグンと向上するんですね。
音読でスペイン語の土台を作っておくと、徐々に聞き取れるようになります。
スペイン語圏の人が集まるイベントに参加する
スペイン語のリスニング力を上げるには、スペイン語で話す機会を増やすことも重要な要素です。
幸いにも、日本では外国人と交流できるイベントが定期的に開催されています。外国人と日本人による言語交流が行われており、外国人の友だちを作るにはもってこいでしょう。
基本的には健全な集まりですが、なかには出会い目的で近づいてくる輩もいるため気をつけましょう。
しっかりと相手を見極めてから仲を深めると安全です
スペイン語圏の友だちも作れるアプリ
直接会って話すことが難しいのなら、アプリを使ってみてもいいでしょう。
日本のサブカルが世界に影響を与えている現在、日本語を学びたいスペイン語ネイティブの人は少なくありません。そのため、時差の壁を越えてやりとりできる言語交換アプリは多くの学習者から支持されています。
しかし、顔の見えないアプリであるため、相手がサクラだったり詐欺に遭うといったリスクが伴います。すべてのアプリが安全かというと断言はできず、自己責任で利用しなければなりません。
僕は、不安障害を持っていることから、「タンデム」というアプリを使ってスペイン語圏の友だちを増やしました。
近いうちに実際に使った記事をアップするので、お待ちくださいね。
スペイン語のリスニング力を鍛えよう
今回は、リスニング力を向上させる方法について紹介しました。
リスニング能力は、一朝一夕で上がるものではありません。コツコツと実践することで、いつのまにか聞き取れるようになってきます。
焦らずにじっくりと取り組むことが、1番の秘訣と言えるでしょう。
よければ皆さんの参考にしてみて下さいね。